これは、私が保険会社側の代理人として担当した交通事故の裁判です。
交差点を互いに青信号で、右折しようとしたYさんが運転する車両と、直進しようとしたXさんが運転する車両とが出会い頭で接触するという交通事故が発生しました。この事故によって、Xさんは全身打撲・頸椎捻挫・不安障害などといった傷病を負い、約1年6か月ほど通院し治療を続けました。治療が終了したところで、Xさんは弁護士に依頼して、Yさん側の保険会社との間で示談交渉を行いましたが、示談金額について折り合いがつかなかったことから、治療費・休業損害・慰謝料などを合計で約287万円の損害賠償を請求する裁判を起こしました。
そのため、保険会社を通じて、私がYさんの代理人に選ばれ、この裁判を担当することになりました。
裁判では、まずXさんの治療に関してカルテなどの医療記録を裁判所を通じて取り付けました。そして、このカルテに記載されているXさんの治療の内容や経過を検討した結果、治療そのものについては妥当だとしても、仕事についてはXさんが主張している時期よりも早く働き始めることができたのではないか(休業期間や稼働制限の妥当性)、他の裁判例などと比較する慰謝料が高く主張されているのではないか(慰謝料の妥当性)という点を指摘することにしました。
また、事故の態様からして、Xさん側にも一定の過失があること(過失相殺)も併せて指摘しました。
その結果、裁判所からは、和解案としてまず過失割合について
Xさん : 5%
ということが示され、その上で、賠償額について
請求金額287万円 ➡ 157万円
という金額が示され、和解が成立(最終的には請求額のうち45%以上を減額することに成功)しました。