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交通事故による高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、交通事故による頭部外傷によって脳がダメージを受け、その結果、脳の機能のうち高次脳機能部分に障害が残り、社会復帰などが困難になる後遺障害です。

高次脳機能障害は、失語、失認、失行という異常行動のみならず、外見からは判断しにくい認知障害(記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下など)や人格変化(感情易変、暴力・暴言、攻撃性、幼稚、性的羞恥心の低下、多弁、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想など)といった形で交通事故の被害者の社会復帰を困難にしています。

後遺障害として多彩な症状が現れます

交通事故による高次脳機能障害は、脳の局在的損傷(脳挫傷など脳表面に外形的な異常が存在するような損傷)のほか、びまん性脳損傷(軸索損傷)のように脳表面の形態的異常を画像によって確認できないような脳損傷の場合にも生じます。
特に、びまん性脳損傷(軸索損傷)の場合、交通事故などの衝撃によって、大脳皮質と脳底(大脳辺縁系および脳幹)部を連絡する神経軸索が広範に断線したり損傷を受けることから、以下のように多彩な症状として発現してきます。

    1. 記憶障害(覚えられない、思い出せない、すぐに忘れる状態など)
    2. 注意障害(気が散りやすい、集中できない、あるいはずっとぼんやりしている状態など)
    3. 遂行機能障害(手順がバラバラで要領よく計画的に行動することが出来ない、複数の作業を同時にこなすことが出来ない状態など )
    4. 人格情動障害(すぐにキレる、病的猜疑心や固執性など)
    5. コミュニケーション障害(話しに脈絡がなく何が言いたいのか趣旨不明、会話が噛み合わない)
    6. 感情易変(些細なことで気分が変わりやすい)
    7. 判断力の低下(特に危険に対する認知能力の低下)
    8. 病識欠如(自分が病気であることの自覚がない)
    9. 発動性・意欲の低下
    10. 協調性の欠如
    11. 易疲労
    12. 地詩的障害(よく知っているはずの道で迷う)
    13. 見当識障害(自分がどこにいるのか、今日が何の日か、親しい人なのにその人が誰なのかがわからない)
    14. 半側空間無視(片側を見落としやすい、見えない)
    15. 運動麻痺
    16. 失語症(考えたことを言葉にできない、計算ができない)

その中でも、厚生労働省の「高次脳機能障害支援モデル事業」についての最終報告書(平成16年発表)によれば、対象者424名について、記憶障害が90%、注意障害が82%、遂行機能障害が75%という順で発症頻度が高いとの報告がされています。

症状固定時期

医学上、一律に受傷後半年ないし1年とする見解や、2年とする見解がありますが、過度の単純化の危険を犯しているものと思われます。

高次脳機能障害は、認知症と異なり、損傷から免れた健常な脳機能を利用をして認知リハビリ等を通じて、徐々にですが改善していくことが確認されており、特に若年層においては比較的顕著な改善傾向を示すことが指摘されています。

実際、高次脳機能障害の認知リハビリに取り組んでいる大規模医療機関においては、リハビリによる実際の改善成績から、

高齢者では   半年
・青年や中年では 1年から1年半
・若年では    2年

程度といったケースが多いようです。

損害賠償のために準備すること

後遺障害認定手続きは原則として書面審査です。したがって、その結論は後遺障害診断書などに重要な所見がきちんと記載されているかどうかにかかっています。どんな重要な所見があったとしても診断書に記載されていなけれ後遺障害の認定において評価をしてもらえません。そこで、後遺障害診断書が作成される前の段階から、弁護士に相談をし、どういった点が後遺障害認定において重要な所見となるのかなどの助言を受けながら、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要となります。

また、医師は医は交通事故にあう前の被害者ご本人の性格、判断力その他の能力について知り得ませんので、被害者ご本人における支障や変化が見過ごされてしまうおそれがあります。 そこで、後遺障害認定の判断材料となる「日常生活状況報告書」の作成については、弁護士がご家族から詳しく聞き取りをし、質問を重ねて作成します。重要なエピソードは漏らさず記載するようにしなければなりません。被害者の方が学生の場合には、弁護士が学校関係者などとも面談をし就学状況における変化や支障などを詳しく書類に書いてもらうことも必要です。また、必要に応じて、写真、通知表(成績表)、カルテ、看護日誌などの資料も添付することもあります。さらに、被害者の方が社会人のような場合には、弁護士が職場の同僚から事故の前後での変化について聞き取り、陳述書を作ることもあります。

このように交通事故によって高次脳機能障害を負ってしまった被害者の方に適切かつ妥当な後遺障害の認定結果が得られるようにするためには、早い段階から、交通事故による高次脳機能障害の事案に精通した弁護士に相談し、助言やサポートを受ける必要があるのです。

高次脳機能障害の解決事案

交通事故による高次脳機能障害の事案について、私が担当して解決した事例の一部を紹介します。

被害者側の代理人として担当した事案

高次脳機能障害(後遺障害2級): 賠償金9300万円の獲得に成功

高次脳機能障害(後遺障害7級): 賠償額8500万円の獲得に成功

高次脳機能障害(後遺障害9級): 保険会社の提示額500万円 ⇒ 1800万円で示談

高次脳機能障害【非該当】認定 ⇒ 異議申立により【9級】認定⇒4400万円で示談

 

保険会社側の代理人として担当した事案

高次脳機能障害(9級認定)を否定し、大幅な減額に成功した事案

高次脳機能障害(後遺障害3級): 減額(2億円の請求⇒6500万円で示談)に成功した事案

MTBIによる高次脳機能障害(1級主張)を否定し、大幅減額に成功した案件

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