これは、私が保険会社側の代理人として担当した交通事故の案件です。
交通事故は信号機のないT字路で起きました。Yさんはクルマを運転し、渋滞気味の対向車線を走行していた車両が進路を譲ってくれたことから急いで右折しようとしました。他方で、Xさんはバイクを運転し、渋滞気味の車線を避けるように路肩から歩道へとバイクを乗り入れ、そのまま歩道上を直進して来ていました。そして、歩道と道路が交差するあたりで、Yさんが運転する右折車両とXさんが運転する直進バイクとが出会い頭で接触するという交通事故が発生してしまいました。
この交通事故によって、Xさんは大きく前方に投げ出され、右足関節内果開放骨折などの大きな怪我を負い、入院・通院をしながら治療をしましたが、右足関節に可動制限が残ってしまい、12級7号(下肢の機能制限)という後遺障害が認定されました。
そして、Xさんは弁護士を立てて、Yさんが契約していた保険会社に対して、治療費や休業損害、慰謝料、後遺障害に関する損害など含め合計2125万円ほどの損害賠償を請求してきました。
そこで、私が保険会社を通じてYさんの代理人となり、Xさん側の弁護士と示談交渉を担当することになりました。
示談交渉を行うにあたり、交通事故の発生状況を具体的に確認するために検察庁から実況見分調書などの刑事記録を取り付けました。その記録を検討したところ、Yさんも急い右折しようとしたため安全確認が不十分であったという過失があるものの、交通事故が発生した主な原因は歩道という本来バイクが走行してはならない場所をXさんがバイクで走行してきたことに原因があると考え、似たような事故態様の裁判例などを参考にしながら、Xさん側の弁護士と、この交通事故におけるXさんとYさんの過失割合について交渉を重ねました。
その結果、この交通事故の過失割合について
Xさん 70%
Yさん 30%
という数値で合意ができ、賠償額についても
請求額2125万円 ➡ 330万円
という金額で示談が成立し、最終的にXさん側の請求金額の80%以上を減額することに成功しました。