これは、当事務所の弁護士が保険会社側の代理人として裁判を担当した交通事故の案件です。

事故の内容

路外の駐車場から道路に右折進入しようとしたYが運転する車両と、その道路を右方かた直進してきたX運転車両とが出会い頭で接触する交通事故が発生しました。この事故によって怪我をしたXは、医師から「頸椎・腰椎捻挫・外傷性ヘルニア」といった診断を受け治療をしたものの後遺症が残り、自賠責調査事務所から12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)と認定されました。
そして、XはY側の保険会社との示談交渉のなかで提示された示談金230万円に納得できなかったことから、弁護士を立てて約1600万円の損害賠償を求める裁判を提起しました。
そのため、当事務所の弁護士が保険会社を通じてYの代理人に選任され、この裁判を担当することになりました。

裁判では次の2点が主な争点となりました。

争点1:後遺障害

まず、Xは外傷性ヘルニアを理由に後遺障害12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)と認定されていました。

ただ、交通事故において外傷性ヘルニアを負うことは極めて稀であるとされていることから、裁判所を通じて医療記録(カルテやMRIなどの画像)を取付け、それを第三者の医師の診てもらいました。
そうしたところ、医師からは、XのMRI画像からは外傷性ヘルニアは確認できないこと、後遺障害の程度についても14級9号(局部に神経症状を残すもの)が適当であるという意見が示されました。

争点2:過失割合

また,今回の交通事故における当事者双方の過失割合について争いになりました。

この裁判が起こされる前に、XとY側の保険会社との間で車両の修理代などの物に関する損害について示談が成立しており、そこでは

Xの過失 : 15%

と合意されていました。そのため、X側は裁判においても、この過失割合を主張していました。

そこで、まず、裁判所を通じて検察庁から交通事故の記録(実況見分調書)を取り付けました。
そうしたところ、今回の事故で、Yは、第1車線(歩道側)を走行してきた車両が停車し進路を譲ってくれたことから、緩やかに第1車線を横切り第2車線(センターライン側)に進入しようとしたところ、その第2車線を走行してきたX側車両と接触したことが確認できました。
そこで、前方道路の第1車線側に車両が停車していたのであるから、Xは、その停車中の車両の陰から出てくるY側車両の存在を容易に認識できたはずであるとして、

Xにも35%程度の過失があること

を改めて主張しました。

裁判所での和解:大幅な減額に成功

その結果、裁判所からは、X側の過失割合について

15% ➡ 30%

という見解とともに、後遺障害についても

12級 ➡ 14級

という見解が示され、

請求額1600万円 ➡ 和解金200万円

という請求額から大幅に減額された形での和解が成立し、結果として裁判前に提示していた示談金230万円を下回る形で事件を解決することができました。