これは、当事務所の弁護士が保険会社側の代理人として示談交渉を担当した案件です。
被害者Xの請求額:3500万円(後遺障害12級)
交通事故によって頸椎捻挫(むち打ち)などの怪我をし、その結果、両手の指にしびれ・知覚鈍麻などの後遺症を残した被害者Xは、弁護士をたてて、加害者Y側の保険会社に対し損害賠償請求をしてきました。
被害者X側の弁護士は、Xが外科医であり繊細な指先の感覚や動作を必要不可欠な職業であることから、両手の指のしびれ・知覚鈍麻といった後遺症は今後の外科医としての仕事に大きな影響を与えるとして、自賠責によって認定された14級(労働能力5%喪失)ではなく、12級(労働能力14%喪失)に相当すると主張し、合計約3500万円の損害賠償を請求してきました。
示談交渉で減額に成功
そこで、当事務所の弁護士が加害者Y側の保険会社を通じてYの代理人となり、X側の弁護士と示談交渉をすることになりました。
X側の弁護士から提出された資料などを検討すると、X自身が行った手術件数などは事故前と比べると減少していたことから、事故による後遺症が職業に影響を与えていることは疑いようがありませんでした。
しかしながら、Xの収入自体は事故後も大きく減少しておらず、また、X側の弁護士が指摘してきた医者という職業の特殊性を重視して自賠責の認定等級よりも高い等級を認めた裁判例も詳細に検討してみると、Xとは異なってそれなりの減収をともなっていた事案であり、Xの場合にそのまま当てはまるとまでは言えないことも分かりました。
そこで、この点を指摘しつつX側の弁護士と示談交渉を続け、最終的には
後遺障害 12級(14%喪失)➡ 10%喪失
ということで合意ができ、賠償額についても
請求額3500万円 ➡ 2200万円
という形で示談が成立し、X側の請求額から35%以上を減額することに成功しました。