これは、保険会社側の代理人として担当した交通事故の裁判です。
交通事故の内容
パチンコ店の駐車場から道路に右折して合流しようとしたYさんが運転する車両と、右方から道路を直進してきたXさんが運転する車両とが出会い頭で接触するという交通事故が発生しました。
この交通事故で、Xさんは頸椎捻挫などの傷害を負い、2年以上にわたって治療を続けた後、後遺障害14級の認定を受けました。そして、Xさんは弁護士を立てて、加害者であるYさんを相手に、治療費・休業損害・傷害慰謝料・後遺障害に関する損害(逸失利益・後遺障害慰謝料)など合計2270万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。
裁判での争点
Yさん側の保険会社を通じて当事務所の弁護士がYさんの代理人となり、この裁判では以下の点を争いました。
まず、検察庁から取り付けていた実況見分調書などに基づいて、今回の交通事故の発生について、Xさん側にも20%程度の過失があることを主張しました。
また、Xさんが通院していた病院からカルテなどの医療記録を取り付け検討し、頸椎捻挫の治療の期間としては長すぎることを主張し、治療の必要性・相当性とそれに対応する慰謝料の金額について争いました。
さらに、Xさんは家族が経営している会社が発行している休業損害証明書を提出していましたが、その休業損害証明書が所得証明書などの公的証明書など他の証拠と整合していないことから、休業損害の発生についても争いました。
裁判所の判断
その結果、裁判所は、まず過失割合の点については、当方の主張を認める形で、
Xさん側の過失 : 20%
とした上で、治療の必要性・相当性、休業損害の点については、
治療費 : Xさん側の主張する金額全額を認める。
慰謝料 : 当方の主張する金額(50万円)近くまで減額する。
休業損害 : 認めない。
という見解を示し、和解金として
請求金額2270万円 ➡ 認容額140万円
という金額が示され、和解が成立しました(最終的には、Xさんが請求した金額の90%以上の部分を減額することに成功しました。)。