路上に駐停車していた車両にバイクが追突してバイクに乗っていた人が怪我をした場合、その治療費を車両の運転者や所有者は賠償しなければならないのでしょうか。
バイクであっても追突事故であることには変わりがないので、基本となる過失割合としては
バイク : 100%
クルマ : 0%
ということになり、車両の運転者や所有者が賠償責任を負うことはありません。
もっとも、これは車両の駐停車方法が法律(道路交通法)に従って適切かつ妥当な方法で停車していたことが前提となります。
例えば、道路交通法は車両の駐停車の方法について、
- 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分…においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない(道路交通法44条)
- 車両は、動労標識等により駐車が禁止されている道路の部分…においては、駐車してはならない(道路交通法45条1項)
- 車両は、人の乗車又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない(道路交通法47条1項)
- 車両は、停車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない(道路交通法47条2項)
- 車両は、夜間、道路にあるときは、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない(道路交通法52条)
と規定していることから、これに違反するような方法で車両を駐停車させていたような場合には、車両の運転者や所有者にも過失が認められ、一定の割合による賠償責任を負うことがあります。
また、バイクは四輪車と違って、
- 走行中の視界が狭く、特に夜間は前照灯の照射力が四輪車ひ比較して弱いことから視界不良の場合の駐車車両のバイクに対する危険は大きいこと
- バイクの急ハンドルは転倒の危険があり困難であること
というバイクの特徴からも一定の範囲で過失の修正がなされることもあります。
実際の裁判例でも、駐車禁止場所に無灯火のまま片側1車線の道路の1/3程度をふさぐようにして駐車していた車両にバイクが追突した交通事故で、駐車していた車両側に
35%
の過失割合を認めたものもありました。
道路上に車両を駐停車させるときには、道路交通法に従って適切かつ妥当な駐停車の方法をとるようにしてください。
また、万が一、このような交通事故に遭遇してしまった場合には、妥当な過失割合を知るために、弁護士に相談することをお勧めします。
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