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これは、私が保険会社側の代理人として示談交渉を担当した交通事故の案件です。

この案件は、追突事故によって頸椎捻挫などの怪我をしたXさんが、治療を終了した後に、弁護士を立てて、加害者側の保険会社との示談交渉に臨んできました。Xさん側が弁護士を立てたことから、保険会社を通じて私が加害者側の代理人に選任され、示談交渉を担当することになりました。

示談交渉においては休業損害の点が争いになりました。
Xさんは小規模な会社の役員をしていたことから、休業損害をどのように評価かが問題になったのです。
会社の役員の場合、いわゆる役員としての報酬の部分については労働の対価とは言えないことから休業損害の発生は認められません。
他方で、小規模会社のような場合、役員と言っても営業を行ったり現場作業を行ったりしている人もおり、その場合は労働者して働いた対価に相当する部分については休業損害が認められることがあります。

まず、この役員報酬の点についてXさん側の弁護士に指摘しましたところ、Xさん側の弁護士からは役員報酬のうち60%の部分が労働者としての対価性を有するとして休業損害として130万円ほか慰謝料なども含め合計207万円ほどの損害賠償金の請求がありました。
その上で、Xさん側の弁護士から提出された休業損害証明書や収入などの資料を検討してみると、Xさんの報酬が毎月支払ではなく、一定時期にまとまって払われたりしていました。そこで、Xさんの報酬については殆ど役員報酬であり、労働対価性は低く評価すべきことをXさん側の弁護士に指摘し示談交渉を進めていきました。

その結果、最終的には

休業損害 50万円

で合意ができ、その他に慰謝料なども含め

示談金  合計120万円

を支払うという形での示談が成立し、請求額の40%分以上を減額することに成功しました。