台風の中、クルマを走らせていたら、折れた木の枝がクルマに上に落ちてきて、ボンネットなどに大きなキズがついてしまった場合、誰かに車の修理代を請求することができるのでしょうか。
この場合、樹木の植栽又は支持の瑕疵(民法717条2項)があれば、樹木の所有者・管理者に請求できます。また、道路管理上の瑕疵(国家賠償法2条1項)が認められれば、道路管理者にも請求することができます。

それでは、樹木の所有者や管理者が責任を負うことになる「瑕疵」とは、どういったことをいうのでしょうか。
ここにいう「瑕疵」とは、樹木として通常備えている安全性を備えていないことを言います。その樹木の枝が折れたりして、人や車の通行に危険を与えないように管理されていたかが客観的に検討されることになります。台風の前から枝が腐っていたり、折れかかっていた等といった事情があれば、樹木の所有者や管理者の責任が認められやすいでしょう。

では、道路管理者が責任を負う「道路管理上の瑕疵」とは、どういう場合を言うのでしょうか。
道路として備えているべき安全性が確保されていなかった場合のこと言います。例えば、台風の風雨で枝の折れる危険性がある樹木が道路付近にある場合に、枝をあらかじめ切るなどしておいたか、台風の際に付近を通る人やクルマへの注意を喚起したり、通行規制を行うなどしていたか等といったことが検討されることになります。

なお、樹木の所有者や道路管理者に責任を追及できない場合でも、折れた木の枝が落ちてきてクルマにキズが付いた場合なら車両保険が使えます。