これは、当事務所の弁護士が保険会社側の代理人として示談交渉を行い、減額に成功した事例です。

交通事故によって薬指を解放骨折したXは、整形外科に通院して治療を受けたものの、骨折により薬指の先端の骨が欠けてしまい、後遺障害(14級6号:親指以外の指の骨の一部を失ったもの)が認定されました。その上で、Xは、弁護士を立てて、治療費・休業損害・傷害慰謝料・後遺障害による慰謝料・逸失利益など合計約730万円の損害賠償を、加害者であるY側の保険会社に請求してきました。
そこで、当事務所の弁護士が保険会社を通じてYの代理人に選任され、X側の弁護士との示談交渉を担当することになりました。

この事故における主たる争点は逸失利益の算定方法でした。
X側の弁護士は、薬指の骨の一部を欠損したという機能障害であることを理由に労働能力喪失期間を67歳まで(46年分)を基準に、家事従事者(主婦)としての逸失利益を約320万円と計算していました。
これに対し、当事務所の弁護士は、Xが薬指の先端の骨を欠損していたとしても、診断書などを見ると、大きく欠損しているわけではなく、家事従事者(主婦)としての労働に影響があるのかどうか疑問に思い、裁判所の先例などを調べたところ、逸失利益の発生は認めるものの労働能力喪失期間を「10年」に限定している裁判例(例えば、横浜地方裁判所H17.11.17判決)を発見したことから、Xの逸失利益は約140万円ほどに止まることを主張しました。

また、そのほかに刑事記録で確認したところ、優先道路を走行していたX側の車両と劣後道路から走行してきたY側の車両とが出会い頭で衝突した交通事故であることがわかり、X側にも「10%」程度の過失があることも併せて主張しました。

そうした交渉の結果、最終的に賠償金として430万円を支払う形で示談が成立し、X側の請求額から45%分を減額することに成功しました。