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クルマを運転して交差点に進入したところ、一方通行を無視して逆走してきたクルマと出会い頭で衝突した場合、双方のクルマの過失割合はどうなるのでしょうか。

基本となる過失割合は?

 相談者 

住宅街で信号機もない見通しの悪い交差点で、私が運転するクルマと、一方通行を無視して逆走してきたクルマとが出会い頭で衝突する交通事故に遭いました。
この場合、私の方にも過失があるのでしょうか。

 弁護士 

裁判などで参考にされる過失相殺基準(別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版)では、見通しの悪い交差点に進入するときには双方のクルマが減速していたことを前提に、基本となる過失割合として一方通行に違反して逆走したクルマに80%の過失があることから検討を始めます。

 相談者 

そうすると、私の方にも20%の過失があるということですが、どうしてですか。

 弁護士 

見通しの悪い交差点に進入するクルマには徐行義務があり(道路交通法42条1号)、たとえ交差する道路が一方通行の場合でも、一方通行違反となる方向についての安全確認義務が無くなるわけではないからとされています。
ただ、一方通行に違反したクルマには明確な法律違反があり、双方車両の優劣関係は明らかであることから、違反車両側に80%という高い過失割合がはじめから設定されることになります。

過失割合の修正要素は?

 相談者 

さきほど、双方のクルマが減速をしていたことが前提とありましたが、一方のクルマが減速していなかった場合はどうなりますか。

 弁護士 

減速しなかった方のクルマには、著しい過失があるとして10%の過失が加算されることになります。
ここでいう「減速」とは、法定速度よりも明らかに減速していることを言います。例えば、時速40㎞制限の場所では20㎞前後まで減速する必要がある様です。一方で、時速60㎞を時速30㎞に減速しただけでは足りないともされています。

 相談者 

ほかに、過失割合を修正するような運転行為などはありますか。

 弁護士 

そうですね。例えば、一方通行の道路に進入したクルマが道を間違えたなどの理由からバックで交差点に進入してきたような場合には、重大な過失として20%の過失が加算されることがあります。