加害者の身内として被害者の方に謝罪に行きたいと思っています。何か注意することはありますか。
服装・発言・行動などに細心の注意が必要です。不用意な言動が被害者の方やその家族の怒りを買ってしまうことがあります。事前に弁護士などの専門家の助言がないまま被害者に会いに行くことはあまりお勧めできません。
例えば、原田國男元裁判官(執筆当時は判事)が書かれた著作に次のような記述があります。
「普通の主婦が学校帰りの小学校低学年の少女を車で跳ねて死亡させた事件で、被告人が葬式に参列した際に被害者が飛び出したと言ったために、被害者の母親が娘がそのようなことをするはずはないと激高し、一切示談に応じず、ひたすらその主婦が刑務所に入ることだけを望み、遂にその望み通りに被告人が実刑になり、上告も棄却されて確定した。…この事例では、被害者の母親の強い被害感情がなければ、おそらく被告人は執行猶予になっていたものと思われる」(原田國男「量刑判断の実際〔増補版〕」〔立花書房〕142頁より引用)
不用意な発言が公判に深刻な影響を与えることもあります。被害者と会うには相応の配慮が必要です。