自動二輪車や原付などバイクの交通事故の場合、頭蓋骨骨折・顔面挫傷などの頭部外傷が発生する可能性が高いため、道路交通法上においてバイクの運転者および同乗者にはヘルメットを装着する義務が課せられています(71条の4)。

そのため、交通事故が発生したときに、バイクの運転者や同乗者がヘルメットを装着していなかったがために被害が発生したり、あるいは被害が拡大したような場合には、被害者側にも落ち度があったとして過失相殺される(受け取りれる賠償額が減らされる)のが一般的な取り扱いとなっています。
そして、交通事故における裁判例などをみると、ヘルメット不着用の点については、概ね5%~10%程度の過失があるものとして取り扱われているようです。

  • 大阪地裁H05.08.24判決・交通民集26巻4号1024頁
  • 千葉地裁H07.05.11判決交通民集28巻3号775頁
  • 名古屋地裁H09.01.22判決・交通民集30巻1号80頁
  • 東京地裁H09.12.24判決・交通民集30巻6号1832頁
  • 東京地裁八王子支部H10.03.30判決・交通民集31巻6号2011頁
  • 大阪地裁H11.02.12判決・交通民集32巻1号290頁
  • 大阪地裁H11.07.26判決・交通民集32巻4号1182頁

もっとも、被害の発生あるいは拡大がヘルメットの着用と無関係な場合、たとえば内蔵破裂による死亡のような場合には、ヘルメットの不着用と被害との間には因果関係が認められないとして、過失相殺がされないこともあります(東京高裁H08.06.25判決・交通民集29巻3号662頁)。