たまに,左折や右折のウィンカーを出したまま交差点を直進してしまうクルマを見かけます。

もし,このようなウィンカー点灯を信頼して,そのクルマが交差点を直進してくることがないと考えて,対向車線から右折してきたクルマと出会い頭で衝突する交通事故が発生した場合,双方の過失割合については,どうなるのでしょうか。

裁判所の判決

この点,左折ウィンカーを出したまま交差点を直進したクルマと,対向から右折してきた車両とが接触した交通事故についての裁判例があります(横浜地方裁判所H05.02.22判決,交通民集26巻第1号209頁)。

この判決によれば,双方の過失割合について

直進車側  70%
右折車側  30%

と認定されており,その理由として,直進車側の誤ったウィンカー点灯が右折車の発進を促したことが,交通事故の主たる発生原因として重視されています。

そうすると,右折ウィンカーを出したまま交差点を直進した場合についても,そのクルマは右折し直進してくることはないだろうと対向の右折車両に信頼させるという点では同様ですから,基本的には上記判決と同様に考えることになるでしょう。

このように誤ったウィンカーの点灯は,思わぬ交通事故を誘発するだけでなく,事故の過失割合を決めるにあたって大きく不利になってしまうことがありますので,くれぐれも注意して運転をしましょう。